ホームページ制作を生業にしていなくても、デザインセンスやHTMLタグの知識があったり、WordPressの設置ができたりすると、知り合いや友人にホームページ作成をお願いされる人がいると思います。
現在ではWordPressという便利なCMSが世界中に知れわたり、比較的に簡単にホームページを立ち上げることができてしまう時代になりました。
多少の専門知識は必要であっても、レンタルサーバにCMSがパッケージ化されていることもあり、ほんの少しの知識と手間があれば立ち上げることが可能です。
また、デザインも目的に適った多くのテーマ(雛形)が無料、有料であるので、設置さえできれば、生業にしていなくても、知り合いや友人から仕事として依頼され、それが成立する場合も多くあります。
簡単でも「あーしたい!、こうしたい!」といろいろ出てきてしまい、最初の話と違っていくことがあるので、ここで依頼されたときの抑えるポイントを書きたいと思います。
1. ホームページを依頼された人と、お互いの共通認識不足をすべて潰しておく
ホームページはPCやスマホの「画面の中で完結するもの」、いわゆる「デジタルコンテンツ」になるので、ホームページを作ったことのない人や、そこに携わってない人にとっては、「簡単にできるだろう」というイメージを持っている人が少なくありません。
それなので、「この費用では、ここまでしかできません」という非常に厳しいくらいのしっかりとした線引をする必要が出てきます。
「人がいい人」、「友達だから」「お世話になってるから」とかで「ここはサービスで」等を繰り返していくと、果てしなくどんどん仕事が増えていくばかりか、相手もそれができるものだと思ってどんどん無理を言ってきて、負のスパイラルになり、最終的に疲弊していき、何をやっているのかわらなくなります。これはお互いのために何も良いことはありません。
そのため、まずは「どんなホームページを作りたいか」を徹底的にヒアリングしてください。その後、費用と工数の確認してから「可否を決めて、費用を算出」することをオススメします。
2. コンテンツの情報収集は、依頼者がアウトプットしやすい雛形を用意してあげる
この部分はホームページ運用後の要素もあり、いろいろなパターンが想定され、書いていくときりがないので、最低限必要になってくる大枠のみ抜粋します。
ホームページを依頼してくるほとんどの人は、どのように情報を出していいかわかりません。依頼者が情報を出しやすいように「どんな情報が必要か」をしっかり整理しておいてあげます。
- 何についてのホームページなのか?
- 誰に見て欲しいのか?(セグメント)
- どんなコンテンツを公開したいのか?
- ホームページ公開後、どんな結果が欲しいのか?
- 公開してからどのように運用していくか?
ここで大事なことは、依頼者のデザインの希望などは優先せずに、本質の中身の部分をヒアリングするように心がけます。これらの大枠を踏まえた上で、おおよそのページ数、ボリューム、デザイン、工数が見えてきます。
これらの情報を出してもらっても、まだ費用を決めてはいけません。
3. コンテンツとなる情報や資料をどのように出してもらえるかを確認する
依頼者の中では、プレゼンバリの資料をしっかり作ることができ、画像もすべてそろえて提出してもらえる理想的なケースがあったり、その逆でテキスト情報もなく、紙の手書きだったり、口頭だけであったり、写真素材など提供してもらえないケースもあります。この「依頼者からのアウトプットの方法」こそが、今後の制作において負担がどのようにのしかかってくるかの大きなターニングポイントとなってきます。そしてここれこそが見積もりに大きく影響してくるポイントとなってきます。
自らしっかりしたドキュメントを作成して画像まで提出してもらえる
言うまでもなく、制作者にとって理想的な依頼者です。ここまで依頼者がやってもらえるのは極々稀だと思っておいた方が無難です。そのため、どのような資料が上がってくるかを、依頼者のPCスキル、普段の仕事ややスキル、性格等も確認しておきましょう。
画像やドキュメントは用意できるが、こちらで雛形を整えてあげる必要がある
現在、ホームページ作成を依頼してくる中で一番多いケースがこれです。
そもそもホームページを依頼してくる人は何かしらPC作業を普段から行っていますので、ドキュメントはそれなりに作ることができます。しかしそれは自己流であったり、決められたことしかできなかったりするので、こちらが要求する資料はまず得られません。
そこで情報をアウトプットしやすいように、「ある程度の雛形を用意」してあげることによって、依頼者も悩まないので提出物をいち早く出して頂けるので、スムーズに情報収集することできます。
情報伝達は紙への手書きと口頭がメイン、ゼロからテキスト情報を起こす必要がある
このような依頼者の方がたまにいます。基本は面倒くさがり屋さんか、そもそもPCとは普段から縁のない方です。
これらの人は紙で情報を伝えてきたり、文字情報の連絡手段は今だにFAXだったりします。いわゆるアナログ人間ですね。
既に想像できる通り、こういう方からの依頼が一番手間かかるので、かなりの覚悟が必要です。最悪は文字をすべてこちらで起こす作業が待っていたりします(笑)
情報資料も電話やFAXで、打ち合わせに呼ばれて、コンテンツのための情報は、すべて口頭になる場合もあるので、「ボイスレコーダーに録音して文字起こし」という地道な作業が待っていたりします。
更に画像も用意できない事が多いので、こちらで撮影が必要になることもあり、いわゆる「ホームページコンテンツ作りの取材」もしなければなりません。
次の項目で書くディレクションや進捗管理でも手間がかかるので、相当の覚悟が必要です。
4. 打ち合わせの回数や、やり取りの方法、依頼者のレスポンスはどうか?
制作現場では、「依頼者とのやり取り」、「進行管理や進捗管理」のことをディレクション、プロジェクト管理といいますが、実際にホームページが形になる作業よりも、この部分に一番労力を使うことになります。
これも依頼者側の環境やスキルにより工数と時間が全く異なってくるので、慎重に確認をしてください。
依頼者のPC環境やスキルについて確認する
- 指示、やり取りの中心はメール?電話?手書き?
- 添付資料を送ることはできるか?
- 資料の形態(ワード、パワーポイント、メモ帳等)は?
- メールでは送れない大きなファイルはクラウド上でやり取りできるか?
- Skypeは使えるか?
実はホームページ作成進行中は、依頼者のPC環境やスキルによっては、この時間をかなり吸い取られます。
例えば、メールへの添付の仕方がわからないので、それをレクチャーしたり、意図しているものが上がってこないため、度重なる確認と幾度の往復に時間を要したり、電話を頻繁にしてくる方だったり、目に見えない工数がここでも発生しているわけです。
今後の制作の工数に相当影響してくるので、依頼者のスキルや環境をしっかりと見定めてください。
打ち合わせの回数が多く何度も依頼者のところへ足を運ぶ必要がある
これは始まってみないとわかりませんが、打ち合わせ好きな方からは、小さなことでも呼ばれてしまいます(笑)
また、口頭や電話、手書きがメインの方は、それなりのヒアリングを重ねないと情報収集ができないので、打ち合わせが多くなることが必須となってきます。
5. 依頼者と確認し合って決めた約束事とその見積もりをドキュメント化して最終確認
1~5の項目をすべて把握したら、あなたなりにどのようにこの仕事を請けるか、どのような価格設定にするかを決めます。それから、費用の算出と約束事をドキュメントに起こしてください。
費用は生業にしてても、見積もりというものはその都度頭を抱える問題です。なので、ここは非常に悩ましいところですが、これらをしっかり認識して費用を決めるのと、何も準備なしで費用を決めるのとでは雲泥の差になります。
絶対に疲弊と後悔を防ぐことになりますし、自己への免責でもあり、相互がトラブルにならないための事前対策なので結果的にお互いが幸せになれる準備ということにつながるわけです。
ドキュメント(書類)に起こしたら、実際に会ってそれをお互いに見ながら一つ一つ確認するようにします。
できる事なら、言った言わないを防ぐために、ドキュメントの最後に署名捺印をしてもらいましょう。
まとめ
このようにホームページ作成は、目に見えない、予想がつかない多くの工数が発生する可能性を多く秘めているので、それなりの準備の濃度が濃ければ濃いほど、問題が減り、ストレスがなく、大事な時間という資源が無駄になりません。
余談になりますが、実績のある大手ホームページ制作会社は、一般の感覚からすると「超高い!!!」という印象を受けるかもしれませんが、これらの要素が含まれているというのもあります。(社員の単価や立派なオフィスのコストも含まれていますが)
今ではホームページ制作は多くの人ができる技術になり、単価が下がっているようにも見えますが、「依頼者が本当に満足するものを提供する」、そこで「本質の作業で本質の利益を得る」という意味においては、どうしてもそれなりの見積もり単価になってしまいますし、仕事でやる以上、そこに価値を出していかないといけないと思うんですよね。
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